この記事にご訪問頂いたみなさんなら、水道水には消毒のために塩素が含まれている事はご存じだと思います。
水道水の塩素の量は、私たちヒトが飲む分には大きな悪影響はでない量で設定されています。
しかし、飼育している魚やエビにとっては負担がかかります。
塩素に関するうんちくは別の機会にするとして、残留塩素の除去(カルキ抜き)に効果のある事、ない事をいくつか調べたのでまとめます。
尚、記事中の経過時間と塩素の抜け方については、環境により一定にはなりませんので目安程度で考えてください。
残留塩素の検出に使用した薬品
残留塩素の検出に使用した薬品はマーフィード社の塩素テスターです。
この試薬は塩素と反応して黄色になります。塩素が多い程濃い黄色になります。
効率・効果を考えたら浄水器がオススメ
カルキ抜きで最も簡単な方法は浄水器を使用する事だと思います。
水道水から残留塩素・重金属・細菌などを除去してくれる水槽用の浄水器が売られています。
設置には多少のコストや場所が必要ですが、換水の作業効率が格段に上がります。
そして、何より安心して水槽に水を入れられるのが魅力です。
浄水器の効果を確認した画像です。
左が水道から出した水、右が浄水器を通して出した水です。
それぞれを塩素テスターで調べました。
浄水器を通した水は完全に塩素が抜けている事が分かります。
溜め水に有効な方法
浄水器の設置が難しい場合は、別の方法でカルキ抜きをする必要があります。
その一つとして良く行われているのが溜め水です。
容器に水道水を溜めて、暫く置いておく事で塩素を抜きます。
塩素が抜けるには条件があり、早く塩素が抜ける方法をいくつか試しました。
エアレーション
溜め水の際にエアレーションをすることで、塩素が早く抜けます。
エアレーションがカルキ抜きに効果的か、比較実験を行いました。
バケツに汲んだ水を、直射日光の当たらない室内に置き、エアレーションをしたものと、何もしなかったもので塩素の抜け方を比べています。
次の画像は6時間後の様子です。
左が水道から出したすぐの水、真ん中がエアレーションをした水、右が何もしなかった水です。
エアレーションをした方が、塩素の抜け方が早い事が分かります。
さらに続けて24時間後の様子です。
エアレーションをした方は塩素が完全に抜けています。
何もしなかった方も塩素がかなり抜けていますが、まだ僅かに反応があります。
溜め水でカルキ抜きをする場合にはエアレーションが時短になる事が分かります。
日光に当てる
塩素は日光に当てると早く抜けます。 紫外線の作用で抜けやすくなるのです。
ペットボトルに入れた水を、窓際に置いて光を当てたものと、段ボールに入れて真っ暗にしたもので比較しました。
8時間後の様子です。
左が水道から出してすぐの水、真ん中が窓際に置いて光を当てた水、右が段ボールに入れて真っ暗にした水です。
光を当てた水は塩素が抜けてきているのが分かりますが、真っ暗にした水は僅かに抜けている程度です。
日光ではなく他の光でも効果があるか確かめました。
日光の代わりに、段ボールの中でLEDの光を当ててみました。
24時間後の様子です。
LEDで照らした水も何もしなかった水も、僅かに塩素が抜けていますが、どちらもほとんど抜けていません。
カルキ抜きに日光が有効だという事が分かります。
この点から、「溜め水は屋外におく必要がある」‥と説明している人もいます。
しかし、紫外線が強ければ効果が高いのは間違いありませんが、室内でもできます。
上記のエアレーションの実験はカーテンを閉めた部屋で行っていますが、何もしなかった方も、24時間後にはかなり抜けているのが分かると思います。
また、「蓋をせずに置く」と説明している人もいます。
今回の実験ではペットボトルのキャップを閉めて行っていますが、日光を当てた方は塩素が抜けていますので、蓋による影響は少なそうです。
ただし、光を遮るような蓋は効果を下げる事になると予想できますので避けましょう。
汲み置くだけの何もしないで溜め水をする場合は、少しでも多く日光が当たる環境にする事で時短になります。
カルキ抜き剤を使う
浄水器を使わずに即効性を求めるならカルキ抜き剤というのがあります。
ちょうど、エアーポンプにセットでついてきたハイポというカルキ抜き剤がありましたので、即効性を試してみました。
説明では「5分程で溶けて、魚に無害の飼育水を作ります。」と書いてありますが、薬品を入れてかき混ぜる事で、すぐに効果が現れます。
バケツに汲んだ8Lの水にハイポを1粒入れて30秒程かき混ぜて調べました。
バケツに投入したハイポはまだ溶け残っていましたが、塩素は完全に抜けています。
ただ、かき混ぜなかった場合には、ハイポが完全に溶けても塩素は抜けなかった‥という結果も得ていますので、かき混ぜて使いましょう。
わたくしの場合は、塩素を除去するために他の薬品を水槽に入れる事に抵抗を感じるので使いませんけど‥
今回は「ハイポ」という薬品についてしか調べていませんので、他の薬品の事は分かりません。
まとめ
水槽で生体を飼育する場合に、残留塩素の除去(カルキ抜き)は必要不可欠です。
可能なら、浄水器の導入を考えましょう。
換水のストレスがかなり軽減されますよ。
今回の記事は、いくつかの実験結果をまとめたものです。
それぞれの実験の詳細は以下をご覧下さい。