「エビは酸欠に弱いからエアレーションが必要」って良く目にするけど本当か?第5弾(最終回)です。
これまでの記事をご覧頂いていない方は、まずそちらからどうぞ。
第1弾
第2弾
第3弾
第4弾
今回のシリーズは、実験や調査の結果から導き出した答えではなく、あくまでも私見という事で押さえてください。
すでに前回までで答えが出ちゃってる感はありますが、最後に水槽内に酸素を取り込むメカニズムについてお話をします。
まず、予備知識として次の2点を確認します。
・物質は密度の大きい方から小さい方へ移動する。
・酸素は水に溶けにくいが僅かに溶ける。その量は20℃の純水1Lに対して約9mgぐらいで飽和。
溶存酸素量が飽和に達していない水と空気が触れ合うと、飽和状態になるように空気中の酸素が水に溶け込もうとします。
下手くそな絵を描いてみました。○は酸素分子を表しています。
この時、動きのない水面だと溶け込む速さは非常にゆっくりです。しかし、水面に動きがあるとその速さは増します。
これは、第3弾の簡単な実験でも確かめた通りですが、なぜこうなるのでしょうか?
水面が揺らぐ事で表面積が大きくなり‥と説明している人も見かけますが、それが本当の理由だとは思いません。確かに表面積が大きい方が効率は良いですが、動きがなければ結局、非常にゆっくりしか反応しません。
揺らぐ=動くことこそが理由です。静止した状態で触れ合っていても、酸素分子は水との境目をなかなか超えようとはしないのです。速さを持ってぶつかる事で勢いよく水の中に飛び込みます。
これが、水面の揺らぎが必要な理由です。
次に、対流が必要な理由です。
水の中に入った酸素分子は水槽全体が均一の酸素濃度になるように拡散します。物質は密度の濃い方から低い方へ移動するして均一になろうとする性質があります。
イメージとしてはこんな感じですかね。
均一になるために酸素分子は水中を移動する訳ですが、この移動速度も非常にゆっくりです。その速度に関する法則や計算式があるようですが難しすぎるので割愛。
1mm進むのに1時間以上かかります。
で、どうなるかというと、水面付近が高濃度状態になります。
水に溶けることができる酸素の量は限りがあります。水槽全体でまだ飽和量まで達していなくても、入り口付近が飽和していればそれ以上溶け込めません。
この状態を解消するのを自然に任せていたら凄く時間がかかります。水中での酸素の拡散速度は非常にゆっくりですから‥対流があれば、これはすぐに解消されて酸素が入ってこれるようになります。
これが、水の対流が必要な理由です。
つまり、水面に揺らぎがあり水が対流していれば、水槽内は常に溶存酸素量が飽和状態になろうとしているわけです。
よほど過密な状態かバクテリアのバランスが崩れた状態でなければ、酸素不足にはならないでしょうね。
以上の点から、酸素の取り込みという点で言うと、水面に揺らぎを作り、水の対流が起これば、濾過装置でもエアレーションでも同じ効果が得られるのです。
ちなみに、20℃の純水1L当たり酸素が約9mgという数値を示しましたが、これは純水での話です。有機物を多く含んだ水の場合は溶け込める酸素の量は減るようです。
一般的な水槽なら水1L当たり酸素7mg前後で飽和状態になるらしいです。他の人が調べた数値なので断定しませんが‥それでも十分な量だと思います。
で、結局、「エビは酸欠に弱いからエアレーションが必要」って良く目にするけど本当か?ってことにわたくしが出した結論です。あくまでも私見ですよ。
エビは酸欠に弱いから‥エビに限らず酸欠にはどの生物も弱いです。でも、エビに必要な酸素量はそれほど多くないはず。だって、小さいですもん。
酸欠が直接の原因ではなく
エアレーションが必要‥酸欠が理由で言っているのであれば、そもそも論外。エアレーションじゃなくても酸素を補う環境は作れます。今回の内容です。
「エビが特に酸欠に弱いわけではありませんが、酸素不足は色々と良くないので、酸素を取り込める環境にしましょう。」
最後に‥
今回のシリーズには実験をして検証する事で深められる要素がいくつかあります。調べるための時間はたっぷりありますが、資金がありません。余裕のある方は、調べてブログのネタにでもしてください。そして教えて下さい 笑。あ、誰かスポンサーになってくれたらしっかり調べますよ。
では、今日はこの辺で