自然界において、水をろ過するしくみは「物理ろ過」「生物ろ過」「化学ろ過」があります。物理ろ過は水中のゴミを取ることです。生物ろ過は細菌や古細菌などが水に含まれる物質を変化させることです。化学ろ過は水に含まれる物質を吸着させることを言います。地球規模の水の循環や自然環境の中でこの3つのろ過が作用しています。
水槽内においてもこの3つのろ過を再現し、生物が住みよい環境を作ろうと考えられています。しかし、水槽内のたかが数十リットルの水、数㎝の土の層、人工的に作られたろ材の中での循環でどれほど効果があるのかは疑問です。特に、生物ろ過に関しては賛否があります。水槽の立ち上げにはバクテリアの定着が不可欠、とまで言う人もいますがそんなことはないと思います。バクテリアについてちょっと興味深い記事を見つけたので紹介します。>>こちら
所詮、数十リットルの水の循環です。綺麗になるのには限界があります。では、どうするか?もっと大きな循環を作ればよいのです。そう、換水です。実際には循環はしてませんけどね(笑。換水も立派な物理ろ過です。小さな循環の中でも物理ろ過はある程度有効だと考えます。ろ過器でゴミを取り除きながら換水するのが簡単で効果的な方法だと思います。
ということで、今回は物理ろ過について記事にします。
物理ろ過って何
物理ろ過とは水中のゴミを取ることです。ゴミとは糞やエサの食べ残し、水草の切れ端などです。目に見える大きさのものは網ですくえばOKですが、網ですくえない大きさのゴミが水中に漂っています。それらは、ろ過器を使ってフィルター等で漉し取る事になります。
ろ過器の種類
ろ過器とは、水を循環させながら水中のゴミをフィルターなどで漉し取る装置です。いわば空気清浄機のようなものです。水中の有害な物質を無害に変えるようなことはできません。ろ過器には以下のようなものがあり、用途や好みによって使い分けます。どの方法でもレッドビーシュリンプを飼育することは可能です。
上部フィルター
水槽の上部に設置し、ポンプで水を汲み上げろ過槽を通過する際にろ過され、再び水槽内に落下し循環する。水槽とセットで販売されていることも多く、かつてはアクアリウム用水槽のスタンダードだった。水を汚しやすい金魚や大型魚の飼育等に使われることが多い。二酸化炭素を逃がしやすい構造なので水草水槽には向かない。
メリット
・比較的安価
・ろ過能力が高め
・酸素を取り込みやすい
デメリット
・水槽上部を覆うため水槽内の作業がしにくい
・落水やモーターの音がうるさい
・二酸化炭素を逃がしやすい
底面フィルター
水槽の底面に設置し、その上に砂やソイル等の底床を敷いて使用する。底面フィルターが底床を通して水を吸い、その際にろ過作用が起こる。水流を作るために別途ポンプを使用する。底床全体がろ材になるためろ過能力が高い。底床に根をはる水草の飼育には向かない。
メリット
・酸素を取り込みやすい
・底床内に水が流れるため有害な物質を出す細菌が繁殖しにくい
・比較的安価
・水槽上部が空くので照明の設置や水槽内の作業がし易い
デメリット
・底床に使えるソイルが限られる
・底床にゴミがたまりやすい
・設置すると取り出すのが大変
水中フィルター
水槽内部に設置するフィルターで投げ込み式フィルターとも呼ばれる。別途ポンプを使いファイルター内に水を吸い込み、上部から吐き出す事で循環する。タイプによってはエアレーションも兼ねることできる。
メリット
・比較的安価
・水槽上部が空くので照明の設置や水槽内の作業がし易い
・タイプによってはエアレーションも兼ねる
デメリット
・音がうるさい
・見栄えが悪いし、水槽の中で邪魔
・定期的なろ材の交換が必要
外部フィルター
ろ材を入れ密閉したタンクを水槽外に置き、給水用と排水用の2本のホースを繋ぎモーターで水を循環させる。ろ過槽が密閉されているので二酸化炭素を逃がしにくく、水草水槽で使用されることが多い。
メリット
・水槽上部が空くので照明の設置や水槽内の作業がし易い
・基本的に静か
・ろ材をの種類や量を豊富に選べ、ろ過能力が高い
デメリット
・高価なものが多い
・設置に場所が必要
・エア噛みするとうるさい
外掛けフィルター
水槽の縁に引っかけて設置し、水槽から水を汲み上げろ過槽を通して水槽内に戻すことで循環する。ろ材は専用のカートリッジを使用する。安価で設置も簡単なことから初心者にも推奨されているが、専用のろ材を使わずに改造して使用している愛好家もいる。
メリット
・水槽上部が空くので照明の設置や水槽内の作業がし易い
・比較的安価
・酸素を取り込みやすい
デメリット
・ろ材のランニングコストがかかる
・水が落ちる音がする
・二酸化炭素を逃がしやすい
スポンジフィルター
水槽内の給水口にスポンジをつけてろ過するもの。エアポンプにつけて単独で使用する場合もあるが、上記の他のろ過器の給水口につけて使用する場合もある。目の粗いタイプと目の細かいタイプがある。
メリット
・比較的安価
・稚エビ等を吸い込まない
・大きなゴミをキャッチし、ろ過器の中に送らない
デメリット
・目がつまらないように定期的なメンテナンスが必要
・エアポンプタイプなら音がうるさい
・単体のろ過能力はそれほど高くない
結局どれを選べば良いの?
結論から言うと、レッドビーシュリンプを飼育するなら、どのろ過方法でも大丈夫です。ただし、給水口の形状によってはスポンジをつけた方が稚エビの吸い込み等の心配がなくなります。あとは、好みや飼育方法で選べば良いでしょう。
ちなみに、うちの水槽は全て30cmキューブで、外掛けフィルター(テトラAT-30)の給水口に社外品の細目のスポンジをつけたものを使用しています。純正のスポンジは目が粗くてダメです。
うちでは生物ろ過を意識しない飼育をしています。なので上記の説明は生物ろ過については一切考えていない内容です。それでもレッドビーシュリンプを飼育・繁殖する事は可能ですし、その方が簡単です。