「エビは酸欠に弱いからエアレーションが必要」って良く目にするけど本当か?第3弾です。
第1弾、第2弾をご覧頂いていない方は、まずそちらからどうぞ。
第1弾
第2弾
今回のシリーズは、実験や調査の結果から導き出した答えではなく、あくまでも私見という事で押さえてください。
何故この様な記事を書いているかと言いますと、エアレーションの効果について誤解をしている人が見受けられるからです。
「エビは酸欠に弱いからエアレーションが必要」って言葉を見たら、「エアレーションは酸素を増やす」って思いますよね?そして、初心者さんや経験のない人は「あぁ、あのブクブクが酸素を増やすんだ」ってイメージを持つのではないでしょうか。
そんなイメージ持ってねぇよ、って方はスルーしちゃってくださいねぇ。
エアレーションから出た水中を漂っているあの泡から酸素が溶け込むのだと‥
泡をもっと細かくしたら表面積が増えてもっと効率よく酸素を取り込めるんじゃないか‥
これが、誤解だとわたくしは思うのです。
実際、酸素は水と空気が接している面から取り込まれます。ただ、エアレーションの気泡が水中を漂っている数秒の間にその現象はほとんど起こりません。
溶け込む速さだとか分圧だとか、難しい事が色々あるのですが、イメージしやすいようにちょっと簡単な実験をしてみました。
次の写真を見てください。
これは何かというと、ペットボトルに水上置換で二酸化炭素を集めたものです。
ペットボトルの半分くらいまで二酸化炭素が入っています。ボトルを逆さまにしているのは、キャップの隙間から二酸化炭素が逃げるのを防ぐためです。あんまり効果はないという話も聞きますが念のため。
イメージしやすいように、酸素よりも何倍も水に溶けやすい二酸化炭素を用いています。
このペットボトルを振ったらどうなるか、次の写真を見てください。
ペットボトル内に貯まっていた二酸化炭素が水に溶け、内部の気圧が下がりペットボトルが潰れます。二酸化炭素はこんなに溶けるんですね。
酸素で同様の事をやってもペットボトルに分かるほどの変化は見られません。
もう一つ写真を見てください。
1枚目と変わらないように見えますが、1枚目のものを1時間15分置いたものです。1時間にしようと思っていたのに忘れて15分オーバーした事は内緒です。
ペットボトルが潰れている写真はこれを振ったものです。あんなに潰れるほど溶けるのに、1時間以上経っても二酸化炭素と水が接している面からほとんど溶け込む事は無いのです。
そして、水上置換で集めたという事は、ブクブクと泡を出しながらペットボトルの中に二酸化炭素を集めています。つまり、「集まる」と言う事は、泡からはほとんど溶けていないという事です。
酸素よりも何倍も水に溶けやすい二酸化炭素ですらこうなのですから、酸素はもっと溶けない事が想像できると思います。
水に溶けやすいアンモニア等で同様の事をやろうとしてもアンモニアは貯まりません。溶けちゃいますから‥
さらに、エアレーションから出る気泡は空気で、その中に酸素は約20%しかありません。そんな状態で水槽内を漂う気泡から酸素が溶け込むなんて無さそうだ‥とイメージして頂けたでしょうか?
今回、言いたかったのは「エアレーションのブクブクのあの気泡から酸素が取り込まれるんだ」ってのは誤解ですよって事です。エアレーションをしても意味がないと言っているわけではありません。
今日の記事で、エアレーションの効果についても書くつもりでいましたが、長くなってしまったので次回に続くでお願いします。
では、今日はこの辺で
この記事の続きはこちら。
コメント
はじめまして~エアレーション検証とのことで
CO2と酸素では13倍混ざりにくいそうです、そして酸欠が起こりやすいのが
微生物の多くいる底面なんですよね~
底面の水を泡ごと押し上げて水面を揺らす、混ざりにくい酸素だからこそ
必要なことです。
うちゅこさん はじめまして。
コメントありがとうございます。
そうですね、酸素より混ざりやすい二酸化炭素ですら記事の様な状態なので、酸素ならもっと混ざらないという内容にしたつもりです。
水の対流やエアレーションの他の効果については続きの記事やこれから書く記事の内容にありますので、宜しければご覧ください。