レッドビーシュリンプの飼育は色々ありますが、上手くいっていればどれも正解です。水槽の立ち上げ方法を紹介しているサイトがたくさんあります。多くは時間をかけてバクテリアを育てるやり方です。わが家では水質に大きな影響を与えないソイルを使い、バクテリアにはよらない水道水を使った即日投入可能な飼育方法を実践しています。簡単だからです。自分にあった好みの方法を参考にしたり真似するのが良いと思います。
ただ、どの方法においても全く同じやり方を真似しても上手くいかない事もあります。それは、元水が違うからです。そのことを加味しながら自分の飼育スタイルを確立する必要があります。
レッドビーシュリンプの飼育水
レッドビーシュリンプの飼育で気をつけなければならないこと
pH
TDS値
アンモニア
溶存酸素
水温
急激な水質変化
残留塩素
水道水は浄水場で塩素により消毒されています。レッドビーシュリンプに限らず多くの水生生物にとっては塩素は有害です。浄水器や置き水、薬品等を使い塩素を除去する必要があります。薬品の中にはレッドビーシュリンプに良くないものもあるので注意して下さい。
わが家では浄水器を使って脱塩素処理をしています。
pH(ペーハー)
pHとは酸性やアルカリ性の程度を表したもので、レッドビーシュリンプは弱酸性を好むと言われていますが定かではありません。水道水のpH基準内であれば大丈夫だと思います。ただし、アルカリに傾いている場合、アンモニア(有害)がアンモニウムイオン(無害)に変わる事ができません。この面からもレッドビーシュリンプは弱酸性を好むと言われている所以かもしれません。
わが家の水道水はpH6.8くらいですので気にしたことはありません。pH計も持っていますが使ったのは1度だけ(笑。また、ソイルにはpH調整能力があると言われています。使用しているソイルの特性を見極める必要があるでしょう。
TDS
TDSとは純水に対してどれだけ不純物が入っているかを導電率で計ります。不純物といっても悪いものばかりでなくエビの成長に必要なミネラル等も含みます。レッドビーシュリンプの飼育に適したTDS値は100ぐらいです。しかし、100という数値はあくまでも目安で、元水の状態によって変わると考えています。水道水のTDS値は地域によってことなり、20~80くらいだと思います。足りない分はミネラル添加剤で調整します。わが家では100~130くらいで調整しています。高くても大丈夫ですがあまり意味はありません。詳しくは後述します。
TDSはTDSメーターを使用して計測します。レッドビーシュリンプに限らず、シュリンプ全般の飼育に必要なので用意しましょう。
えびRockが使っているのはこちら。
アンモニア
アンモニアが多くなるとエビの生死に関わります。結構重要な要素だと思っています。アンモニアはソイルや糞、残餌などから発生します。酸性の水中ではアンモニアは水素イオンと結びついてアンモニウムイオンになります。アンモニウムイオンは無害です。また、バクテリアで立ち上げている水槽では硝化菌がアンモニア→亜硝酸→硝酸塩とより毒性の低い物質に分解しているとされています。
しかし、アンモニウムイオンに変化するのも限界がありますし、毒性の低い硝酸塩も大量に蓄積すればエビの生死に関わります。これらの窒素酸化物を水槽から無くすほどの生態系はたかだか数十リットルの水槽では無理です。では、どうすれば良いか‥換水、またはリセットです。
先述したように、アンモニアはエビの飼育に結構重要だと思っていると書きましたが、実は神経質に計測したり気にしているわけではありません。何故かというと、換水やリセットを頻繁にしているのです。リセットは基本月1です。バクテリアによらない飼育なので換水やリセットも簡単なんです。立ち上げ即日投入の方法もあるんです。
先にも書きましたが成功していればどれも正解です。極端ですが投入まで1ヶ月かかる水作りをするか、即日投入可能で月1リセットをするか、自分にあった方法を選べば良いのだと思います。バクテリアについてはこちらの記事もご覧ください
>>生物ろ過について考える
窒素酸化物等の濃度測定には試験紙や試薬を使います。
>>試験紙を見る
溶存酸素
溶存酸素とは水中に溶け込んでいる酸素の量のことです。酸素は水に溶けにくい物質ですがわずかに溶けます。水中の生物はその酸素を使って呼吸をしています。当然溶存酸素が少ないと酸欠になってしまいます。
溶存酸素量は温度によって飽和量が変わります。温度が低いと多く温度が高いと少なくなります。酸素が水に溶け込むのは主に水面からです。水面に揺らぎがある方が効率よく溶け込みます。空気と接している水面は常に飽和状態を保とうとしています。ただ、水中に溶け込んだ酸素の拡散はゆっくりなので、上層が高濃度、下層が低濃度になることはあります。これはろ過器などによる対流で緩和されます。
対流がある水槽内部では常に溶存酸素が飽和状態を保とうとしているし、エビ1匹の酸素消費量は少ないので過密飼育でなければ気にすることはないと思っています。ただし、水草が多くレイアウトされている水槽では夜間の水草の酸素消費について考える必要があると思います。
溶存酸素についてはこちらもご覧ください。>>エアレーションの効果と逆効果
水温
水温に関して気をつけなければならないことは2つあります。1つ目は適正温度。レッドビーシュリンプが快適に過ごせる温度は22℃~26℃後半くらいだと思います。ベストな温度は25℃かなと思っています。これはえびRockの経験則です。22℃を下回ると弱りはしませんが活性が極端に落ちてじっとしていることが多くなります。27℃を超えると体が赤くなり明らかに弱っている感じが出始めます。
極端な低温や高温にさらされると生死に関わります。すぐに死ななくてもダメージが残り寿命が縮まります。また、繁殖の能力も下がり、抱卵個体が出なくなります。→経験済み(涙
水温に関するもう一つは急激な温度変化です。私たちも急に冷たい水に入ったり、冷えた体で暑いお湯に入ったりするとダメージありますよね?それと一緒です。おそらく、エビが受けるダメージはもっと大きいです。想像ですけど‥
水温を測るには水温計が必要です。リアルタイムの水温だけでなく最高と最低を記憶できるタイプのデジタル水温計もあります。放置になる場合が多い人にはオススメです。
>>水温計を見る
急激な水質変化
小さな体のエビですから急激な変化に弱いのは想像がつくと思います。逆に言うと、多少適正の範囲を少しぐらい超えていても急激な変化でなければ耐えられる面もあります。極端に手を加えなければ大丈夫ということです。
TDSとは
上述したようにTDSとは水中の不純物の量を表しています。不純物と言われると汚れているイメージになりますが、何も入っていない純水に対して入っている全てのものを不純物と表現しているので、必要なミネラル等も含まれます。単位はppmが使われることが多いです。1ppm=1000Lに1gの物質が入っている状態です。
では、何の量を量っているのかということですが‥とにかく入っているもの全ての量です。なので、ただ単に汚れているのか必要なミネラルなのかは分かりません。水槽に手を入れたら手の皮脂によって上がったりもします。
レッドビーシュリンプの飼育にあったTDS
レッドビーシュリンプは甲殻類なので殻を形成するのにカルシウムが必要です。また私たち同様にその他のミネラルも成長や生命維持のために必要です。エビ達はこれらの物質を水中やエサから吸収します。
水道水にもこれらの物質は存在します。でもそれだけでは足りません。なのでミネラル添加剤で調整する必要があります。ミネラルが不足すると脱皮不全を起こしたりちゃんと成長してくれないからです。目安としてはTDSが100ppm程度ですが、あくまでも目安です。何故って?それは前述したようにTDSが示す値は特定の物質の値ではないからです。
水道水のTDSは地域によって変わります。元水の性質や浄水場の処理の仕方にもよります。また、自宅の配管の状態でも変わります。例えば、離れた2地点で、どちらも水道からだした直後の水が50ppmだったとします。その2地点での水の成分が同じと言えるでしょか?同じかもしれませんし、違うかもしれない‥それは分からないのです。しかし、水道水の詳細な成分を調べることは素人には困難です。だから、目安として100ppmという値が示されているのです。
人によっては150ppmという人もいれば300ppmと言っている人もいます。これはその人の使用している水と飼育経験から出した数値だと思います。目安の100ppmという数値をもとにエビの調子を見ながら自分に合った数値を見つける必要があると思います。多少高くても悪い影響はありません。高ければ高いほど必要なミネラルを吸収するわけでもありません。そこら辺を踏まえながら適値を見つけてください。
ただ、稚エビに関してはTDSを高めにすると歩留まりが良くなったという記事を多く見かけます。根拠は分かりませんが試してみる価値はあるかと思います。えびRockも若干意識しています。
TDSの合せ方
TDSを調整するのに必要なものはTDSメーターとミネラル添加剤です。わが家ではこれを使って120ppm程度にしています。
30キューブにキャップ1杯で約50ppm上がります。
まとめ
わが家では、浄水器によって脱塩素処理をした水道水を、水温25℃、TDS120ppmに合せ、立ち上げ当日に生体を投入するやり方で飼育しています。よほど過密にならなければ溶存酸素のことを考える必要はありませんし、pHも水道水の基準範囲内で十分です。窒素酸化物に関しては換水や月1程度のリセットで十分に対応ができています。特別な水作り等もしていないので換水やリセットで急激な変化は起こりません。
つまり、レッドビーシュリンプの飼育水は各項目を適正範囲に内に納めて、急激な水質変化を起こさなければ十分ということ。一番簡単なのは脱塩素処理をした水道水のTDSを合せ25℃に保てばよいのです。月1程度のリセットが必要になりますが、それに対応するソイルを使えば簡単です。バクテリアを使い水質を長期間保つ方法もありですが、バクテリアのコンディションを保つのも大変です。リセット時にソイルを全取っ替えして投入まで1ヶ月程度かかるのも辛いです。決してバクテリアによる水作りをディスっている訳ではありません。レッドビーシュリンプの飼育方法の選択肢が広がれば飼育しようとする人が増えるかもしれない、そんな思いで発信しています。